このブログ「万葉集と日本人」では、日本最古の歌集『万葉集』の魅力と、その『万葉集』が1200年にわたって読み継がれてきた歴史を紹介します。
「万葉集と日本人」というタイトルは、私の著書『万葉集と日本人』(角川選書、2014年)からとったものです。
『万葉集』の読まれ方は、時代によって大きく変化してきました。『万葉集』はその時代の人々の心を映し出す鏡となっています。『万葉集』の1200年を通じて、日本人の心の歴史を見つめ直し、その上で私たちの時代の『万葉集』の読み方を考える――これが、『万葉集と日本人』という本のスタンスです。
そして、『万葉集と日本人』では、これからの『万葉集』の読み方を、次のように考えました(第八章「『万葉集』の未来」の趣旨)。
《今日、多くの外国語に訳され、さまざまな国の人々に感動を与えている『万葉集』は、決して“日本人にしかわからないもの”ではありません。人間とは何か、人間が生きるとは何かを問いかけた、普遍的な文学として、世界の人々に開かれたものです。
《私たちも普遍的な文学に出合う時、それが外国文学であるか、日本文学であるかに関係なく、深い感動を覚えています。
《しかし、「普遍的な文学」というものは、抽象的に存在しているわけではありません。その普遍性は「エスニシティ」(民族性)や「ネイション」(国民)を通じて表現されます。
《「エスニシティ」や「ネイション」を大切にしながら、それを絶対化せずに、常に知性的に捉える目を持ち、普遍的な文学として『万葉集』を読んでゆくこと、それによって世界の文学や文化に貢献してゆくことが、これからの『万葉集』の読み方であると思います。
ブログ「万葉集と日本人」もこの立場に立って、『万葉集と日本人』では触れることのできなかったトピックを紹介し、またこの本以後の研究成果を伝えながら、私たちの時代の『万葉集』の読み方を深めてゆきたいと思っています。
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